4月16日付

4月16日 09:15

 熊本城には復旧工事の様子を安全な場所から確認できる「復興見学ルート」が設定されている。1周1時間ほどの道のりを歩いてみた。幼い頃、家族や友人と遊んだ記憶が至る所でよみがえった▼石垣から崩落した石の保管場所があり、外国人観光客らに人気の撮影スポットになっていた。ずらりと並んだ石の一つ一つに「H○○○-○○○」と番号が書かれている。積み直す際に元の場所に戻し、再利用するためだ。気の遠くなるような作業だが、海外の人は、そんな丁寧さや粘り強さに日本らしさ、熊本らしさを感じるのかもしれない▼見学ルートを歩いていると、保管場所に置かれた石は城全体の石垣の一部にすぎないことにも気づく。地震の前と変わらぬ威容を保っている石垣も案外多い。一方で、崩れたまま放置され、修復の時を静かに待っている石も▼熊本地震から2年。さまざまな石垣の姿は、被災者の現状と重なっているようだ。いち早く生活再建を果たした人もいれば、最近になってやっと落ち着きを取り戻した人もいよう。今も仮設住宅や軒先避難の暮らしが続き、復旧・復興を実感できない人も多いことだろう▼被災者間の格差は今後さらに広がりかねない。家族や友人、ご近所と繰り返し声を掛け合い、復興の流れから取り残されている人はいないか気を配りたい▼石も人も、単独ではできることに限りがある。だが、肩を寄せ合う者同士でつながり、少しずつでも悩みや苦しみを分かち合えば、明日への一歩を支える力となろう。