3月14日付

3月14日 09:15

 国の政策はどういう過程で決まるのだろう。1962年、米国とソ連の緊張が核戦争寸前まで高まったキューバ危機。その経緯を分析した米政治学者グレアム・アリソンは3類型を挙げた▼国はさまざまな情報を集め最善の方向に向かって進むという「合理的モデル」、各組織の標準的作業の積み重ねでしかないとする「組織モデル」、組織も人の集合体で、政策は官僚の駆け引きや影響力行使の結果だとする「政府内政治モデル」だ▼もちろん政策一つ一つがこの類型にきれいに当てはまるわけではなく、微妙に絡み合う。故に読みにくい。“謎”の北朝鮮は金正恩[キムジョンウン]委員長ががっちり握っているようだが、軍部やトップエリートの関与はどうなのか▼米朝首脳会談が韓国の仲介で実現しそうだ。トランプ大統領といえば、いまだ高官ポストも埋まらず支持率低迷にあえぐ。己の直感と交渉力を信じての合理的決断だろうが、政権浮揚に向けた野心もにじむ▼トランプ氏の心を動かしたのは、北朝鮮による非核化の約束とされる。しかし、過去にも同じような約束をしては後になって細部に難癖をつけ、反故[ほご]にすることを繰り返した国である。リスクの認識ありやなしや▼金委員長と会談した韓国特使団によると、拉致問題は議題にならなかった。北朝鮮問題をトランプ氏に再三説明してきた安倍晋三首相にすれば、米朝会談にはしごを外された思いもあろう。振り返れば1強に端を発した「政府内政治」で火だるまである。政治は難しい、と思っているか。