2月14日付

2月14日 09:02

 久しぶりに『はらぺこあおむし』の題名を聞き、熊本市現代美術館をのぞいてみた。子や孫からせっつかれ何度も読まされた絵本だ。案の定、会場には幼児を連れた若い家族でいっぱいだった▼米国のエリック・カール絵本美術館から熊本地震復興の申し出があり実現した原画作品展。赤や青、緑などのアクリル絵の具で着色した貼り絵は鮮やかで、同時に深みがある。ママに抱かれたり、ベビーカーに乗ったままじっと絵に見入る幼児もいた▼カールさんの『パパ、お月さまとって!』という絵本では、娘の願いを何とかかなえたいパパが長い長いはしごを高い山のてっぺんに掛け、月まで上る。大きな月が小さくなるのを待って持ち帰ると娘は大喜び。ほどなく月は消え、再び夜空で大きくなるというお話だ▼平昌[ピョンチャン]冬季五輪では、20歳を超えたばかりの日本選手が次々にメダルを取った。メダルを取りたいと願い、周りの人たちと一緒に長いはしごをかけ続けた。3人の手には今、お月さまが輝いている。しかし、もっと真ん丸い月を手に入れるため再びはしごをかける作業を始めるらしい▼今度の五輪は政治五輪などと言われ、北朝鮮と韓国を巡る動きが競技以上に注目を集めている。北朝鮮は文在寅[ムンジェイン]韓国大統領の訪朝を要請、バッハIOC会長も訪朝する意向だという▼五輪は政治と無縁ではない。しかし、五輪には五輪の一線があるのではないか。競技の名前もルールもよく分からない身ながら、お月さまに恋する若者の気持ちだけはよく分かる。