2月13日付

2月13日 09:19

 トップアスリートたちの戦いは熾烈[しれつ]を極める。「流れる川を上流に向かって泳ぐのに似ている」とも。上流に上れば上るほど流れる速度は速くなり、少しでも手を抜くと、たちまちもとのところまで押し流されてしまう▼テニスのジョコビッチやナダルら一流のプレーヤーたちも目標はと問われると、「常に成長すること」と答える。紙一重の力の差のライバルたちとしのぎを削る世界では宿命といえよう。特に技の難易度や完成度を競う競技では、ライバルが真似[まね]のできない武器を手にできるかが鍵を握る▼きのうの平昌[ピョンチャン]冬季五輪スノーボード女子スロープスタイルで、メダルが期待されたルーテル高出の鬼塚雅選手(19)は、19位に終わった。本来の力を発揮できず、本人には悔しい五輪デビューだっただろう▼鬼塚選手には五輪で金メダルを取るために用意した武器がある。「バックサイドダブルコーク1080」という縦2回転、横3回転の大技だ。昨年のUSオープンで5位に終わり、「メダルを取るにはやるしかない」と練習を積み重ねてきた。しかしその離れ業も強風で封印せざるを得なかった▼5歳の時、両親と遊びに行った福岡市の室内練習場で初めて体験したのがきっかけでスノーボードを始めたという。結果は残念でも、南国育ちのプレーヤーの果敢な挑戦は冬のスポーツをより身近に感じさせてくれる▼鬼塚選手には空中での回転技の難しさを競うビッグエアが残っている。悔しさをバネに次こそは伸び伸びと宙に舞ってもらいたい。