11月14日付

11月14日 09:07

 海外から帰国してバスの車窓越しに街を眺める。日本の道路はなんと清潔なんだろう。ごみがほとんどなく、掃き清められたように美しい。少し大げさかもしれないが、この国に生まれてよかったと思う瞬間だ▼一方、欧州などで感じるのは空の広さと街並みの美しさ。歴史的な建造物が多いせいかと思っていたがそれだけではないと気付いた。電柱や電線がないのである。日本人は電柱を見慣れているため、逆に無くても意識しないのだろう▼景観だけの問題ではない。昨年の熊本地震では244本の電柱が倒壊、4091本が傾斜した。阪神大震災ではその何十倍もの電柱が倒れ消防車などが入れなかった。昨年12月に無電柱化推進法が議員立法で成立、ようやく政府も本腰を入れ始めた▼ロンドンやパリ、香港は無電柱化率100%、台北やシンガポールは90%台、ソウルでも40%台。それに比べ日本で最も進んでいる東京23区でも8%しかない。先進国から取り残されている日本だが、災害大国としては避けて通れまい▼日本には桜の木と同じ数ほどの電柱があり、毎年減るどころか約7万本も増えている。まずは新しく立てさせないのが肝要と静岡県はこの春から、災害時の緊急輸送道路での電柱新設を禁止した▼2020年に五輪・パラリンピックを控える東京では、「ノーモア電柱」をスローガンに全国初の無電柱化条例を作った。小池百合子知事は議員立法案をまとめた1人だ。せめてマラソンコースだけでもすっきりした空になるといい。