11月21日付

11月21日 08:34

 キャンバスの半分ほどを占める夕焼け空は、黄色から薄い紅へと徐々に色を変える。その絵肌の美しさに、思わず息をのんだ。先日、県立美術館本館で29日まで開催中の美術公募展「くまもと『描く力』」展を訪ねた▼例年通り、風景や人物、抽象と多彩で見応え十分の展観となっている。細かな部分まで丹念に描かれた作品を眺めていると、作者の「描きたい。表現したい」という情熱、熱量が伝わってくるようだ▼会場を出ると、ふとこんな思いが胸をよぎった。そうした情熱や熱量がこちらからは感じられないのでは、と。政府の新型コロナウイルス対策のことだ。国内感染者は都市部を中心に連日増加。重症者も増え、本格的な冬を前に不安が募る▼ところが、政府の危機感は薄いようだ。西村康稔経済再生担当相は記者会見で、感染がどうなるかは「神のみぞ知る」と述べていた。確かに専門家でも予測は難しかろう。ただ、コロナ対策を担当する大臣としてあまりに無責任ではないか▼菅義偉首相も経済優先の姿勢を鮮明にしている。日本医師会会長が「感染拡大のきっかけ」と指摘した「Go To トラベル」についても見直しには否定的。食事中も会話の際はマスクをつける「静かなマスク会食」を呼び掛けはしたが▼果たして「自助」頼みで冬を乗り切れるのか。欧米ほど深刻にはなるまいと高をくくっているだけでは。こうなると、前政権の方が“やってる感”はあったような気がしてくるから不思議なものである。内容は別として。