8月1日付

8月1日 07:01

 「太陽は雲をこがし、大気中の水蒸気を熱気と化する。そのなかにいる人間はまったく熱湯中の魚である」。日本の夏についてこう語った外国人がいる。最近の言葉と言われても違和感はないが、90年近く前のものだ▼1933(昭和8)年から約3年半日本に滞在した、ドイツ人の建築家ブルーノ・タウトが言ったそうだ(倉嶋厚著『暮らしの気象学』草思社)。ヨーロッパから来た人間にとっては、当時でも日本の夏は熱帯並みの暑さだったという▼長かった梅雨が明けた。一服できるかと思えば、県内ではさっそく気温がぐんぐん上がり、きのうは35度を超える猛暑日となった地域もある。日本の夏は、タウトが経験した頃よりさらに暑くなっているのは間違いない。タウトの言い方を借りて表現するなら「人間自体が熱気と化する」とぼやきたくなる▼夏本番となり熱中症のリスクが高くなる。特に梅雨明け直後は増える時期だ。これからしばらく猛暑が続きそうで、いっそう注意が必要になる。ただ今年悩ましいのは、コロナ対策で着けるのが日常になっているマスクの扱い▼着用すると体に熱がこもりやすくなるほか、口の中の湿度が保たれ、喉の渇きを感じにくくなるため脱水になりかねないという。政府は、屋外で人と十分な距離が確保できる場合にははずすことや、着用する際は小まめに水分補給をするよう呼び掛けている▼コロナも熱中症も一人一人にできる対策は分かっている。それを地道に実践して、リスクを下げていくしかない。