5月23日付

5月23日 08:01

 「幸福だから笑うのではない。むしろ笑うから幸福なのだ」と言ったのはフランスの哲学者アランである。世界のジョークを集めた『新・世界の日本人ジョーク集』(中公新書ラクレ)にはそんな前書きと共に、笑いを通した日本人論がつづられている▼ニューヨーカーが東京へと観光に行った。旅行から戻った彼に友人が聞いた。「東京では言葉の苦労はなかったかい?」。彼はこう答えた。「僕はなかったよ。彼らは苦労してたけど」▼日本人は英語が下手で、外国人と見ただけで、苦手意識がある。グローバル化が進んでも、こうした日本人は少なくない。それでも、「観光立国」を掲げる日本には、毎年多数の外国人客が訪れていた。今となっては、ほんの数カ月前までの過去の話である▼コロナ禍にあえぐ観光業界のショッキングな数字がまた一つ公表された。観光庁によれば、日本を4月に訪れた外国人客はわずか2900人で、前年同月比99・9%減だったそうだ▼多くは留学や就労で日本に暮らす外国人が再入国したケース。観光に訪れた外国人はほぼいなかった。政府の入国制限拡大が原因とはいえ、思わずため息をつきそうな数字だ▼回復の道筋を描くことは容易ではないが、ここは落ち込んでばかりもいられまい。先のジョーク集によると、喜劇王チャプリンはこんな言葉で周囲を元気づけていたそうだ。「下を向いていたら、虹を見つけることはできないよ」。「上を向いて歩こう」-日本人には、あの名曲が重なる励ましだろう。