5月22日付

5月22日 08:01

 作家の故山田風太郎さんは変わった健康法を試みていた。48時間ぶっ続けでマージャンをやることである。すると、その後20時間くらい眠りこけ、起きたときは生まれ変わったような気がしたという▼あくまで「気がした」であり決して健康的ではなさそうだが、それなりに効用はあったのだろう。さらに、マージャンの面白さは碁将棋のように実力一点張りの勝負と違い運命とたたかうところ、とも書いている。よほど好きだったようだ▼こちらは運命とたたかうのではなく、運命に翻弄[ほんろう]されていると言った方がふさわしいか。東京高検の黒川弘務検事長が新聞記者らと賭けマージャンをした疑いがあると週刊文春が報じた。本人も事実関係を認め結局、辞職することになった▼賭けマージャンは賭博であり、しかも新型コロナウイルス感染拡大で全国に緊急事態宣言が発令されていたさなかのこと。定年延長問題で世間の耳目を集めていた「時の人」が、なぜそんな軽率な行動を取ったのか。驚きあきれるしかない▼だが、黒川氏が辞めておしまいではない。そもそも法解釈を変更してまでなぜ氏の定年を延長したのか。政府与党が、政府判断で検察官の定年を延長できる検察庁法改正案成立を先送りしたのは、この件が報じられるからではなかったのか▼安倍晋三首相はこれらの疑問に答える責任がある。それにしてもコロナ対応といい今回といい、首相のやることなすこと裏目に出ているよう。運命に翻弄されているのは黒川氏だけではなさそうだ。