4月8日付

4月8日 06:57

 「怖」という感情を含むツイッター投稿が、タレントの志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなって3倍に増えたという。有名人の死が人々の行動を変えた一例か▼ついに…。改めて怖いと感じた人も多かったに違いない。コロナ特措法に基づく、史上初の緊急事態宣言である。安倍晋三首相が東京、大阪、福岡など7都府県を対象に1カ月間の宣言を出した▼大都市を中心に感染が拡大、医療崩壊が懸念されるため必要と判断したという。外出自粛要請には法的根拠が伴うようになる。ホテルなどを医療施設として強制的に使える。「緊急事態」の心理的影響は国民の行動をどう変えるのだろう▼フランスの哲学者フーコーが考察した「一望監視施設」を思い出す。中央の看守は全監獄を見渡せるものの、監獄からは看守が見えない。これが続くと囚人は看守がいなくても看守を意識するようになる。この効果が権力に応用されてきた、と▼コロナ禍のさなか、カミュの『ペスト』が読まれているらしい。封鎖された都市で患者を治療する医師が言う。「ペストと闘う唯一の方法は誠実さ」で「僕の場合には自分の職務を果たすことだ」と。大切なのは強制や追随ではなく、一人一人が責務を果たす連帯ということか▼感染の連鎖を断ち切るために私たちも責任を果たしたい。人との接触は極力減らそう。ただし、行動の自由、集まる自由を手放すのはあくまで一時的である。慣れっこにはならない。これ以上の息苦しい社会は御免である。