4月5日付

4月5日 07:09

 「アベノマスク」や「エープリルフールかと思った」などとネット上ではやゆされ、日本医師会の横倉義武会長は「ウイルス防止の役割はあまりない」と話している▼新型コロナウイルスの感染予防や国民の不安解消につながるとして、政府が全世帯に2枚ずつ配布する布マスクのことだ。秘策を打ち出したつもりの安倍晋三首相も立つ瀬がなかろう▼そんな世評を気にしたのかどうか、1世帯20万円の方針だった現金給付が首相の判断で急きょ30万円に増額された。ただし、こちらには線引きがあり全世帯には行き渡らない▼コロナ禍で収入が減っていることが条件で、減っても月収が一定水準を上回る場合は対象外となる。線引きの具体的数字はまだだが、誰もが納得するものができるだろうか。そんな疑問が頭をよぎるのは、東京電力福島第1原発事故を巡る慰謝料のようなケースがあるからだ▼放射線量に違いはなくとも、慰謝料の額は原発からの距離で線引きされた。そのため、例えば福島県南相馬市では住民の間に溝ができ、農作業の合間に昼食を一緒に取っていた人たちが、道で顔を合わせてもあいさつさえしなくなってしまったという。「集落を二分する国のひどい線引きがそのままお金の線引きになり、人間関係を壊してしまった」と住民は嘆いた▼コロナ、コロナで全国にストレスが充満している。導火線に火が付けばそれが爆発し、社会の混乱拡大や人々の分断につながりかねない。給付金の線引きが導火線にならぬよう祈るのみだ。