10月16日付

10月16日 08:01

 年に1日だけ、母校の大学で後輩たちに話をしている。学部のOBやOGが週替わりで自分の仕事を紹介し、職業選択の参考にしてもらう寄付講座の語り手として。3年目になるが、回を重ねるたびに痛感する。今の大学生にとって、新聞は本当に縁遠いメディアなのだ、と▼今年も、90分の講義を終えると1人の学生から尋ねられた。「新聞って、どこをどれぐらい読めばいいんですか」。つかみどころのない質問にいささか面食らった▼聞けば、3年の秋になり就職活動を本格化させているという。多くの人から新聞を読むよう勧められ、最近始めたのだが「最初から最後までしっかり読むと、時間ばかりかかってヘトヘトです」▼まずは見出しを読むだけでもいい。じっくり読むのは、慣れてからでも遅くない。そう伝えたが、答えになっていたかどうか。熱く語り過ぎて新聞嫌いになられてもと案じ、説明が中途半端になったことを悔やんだ▼新聞は読み続けることでじわじわと理解が深まる。ニュース記事なら、第一報から続報、まとめ記事と順に追うことで経緯や重要性が分かり、知識の幅も広がる。そんな特長が、新聞に慣れ親しんでいない世代にも伝わるといいのだが▼15日から新聞週間が始まった。今年の代表標語は「新聞を開いて僕は世界を知った」。作者は徳島市の中学2年生だ。若い世代の期待と信頼に紙面は応えているだろうか。作り届ける私たちも足元を見直し、さらに良質で分かりやすく、と決意を新たにする1週間である。