10月14日付

10月14日 06:28

 夜が明けて早朝、住宅地の家々をあらうような濁流をテレビで見ながら、昨年7月の西日本豪雨を重ね合わせた。長野市穂保[ほやす]地区、宮城県丸森町、福島県伊達市…次々に浸水地域が判明していく▼西日本豪雨では11府県に大雨特別警報が出されたが、今回はそれを上回る13都県に発表された。それほど広範囲で記録的な豪雨だった▼普通は秋が深まってくると海水温が下がる。ところが日本のすぐ南の海水温は27度以上あり、平年より1~2度高かったという。エネルギー源の水蒸気を多量に取り込んだ台風19号は、非常に強い勢力を保ったまま本州に近づいた▼気象庁は60年以上前の狩野川[かのがわ]台風を引き合いに、早くから警戒を呼び掛けていた。そんな「数十年に一度」というフレーズが、毎年、いやことによると一夏に何度も発せられるようになった▼こうなると「普通は」という言い方はもはや意味をなさない。特別が普通になってしまった。地球環境は既に過去の常識が通用しない新しい段階に突入している▼最強レベルの台風がこの時期に関東を直撃したのも異例という。太平洋高気圧が例年より張り出しており、そのへりに沿って台風が北上、偏西風によって東に進路を変えた。首都圏でも多摩川などが氾濫し、都内で浸水被害が出た▼この夏公開された新海誠監督の映画「天気の子」では、気候変動のため東京の街の1階あたりは水没し、人々は高層階で暮らしている。映画は広い意味のSFだが、それがSFに思えない、リアルな映像だった。