9月12日付

9月12日 08:01

 末は博士か大臣か-。かつては賢い子がいると、周囲の大人はそんな言葉で褒めそやし、その気にさせていた。最近はめっきり聞かなくなってしまったけれど▼博士や学者の人気は健在だ。民間の調査では、子どもたちの「なりたい職業」の常連。特に男の子に人気が高く、今年もサッカー選手、野球選手に次ぐ第3位だった▼とはいえ、実際になれるかどうかは別の話。例えば、理系の研究者は予算抑制のあおりを受けて論文を書くことすらままならない、と先日の本紙にあった。予算の獲得競争をすれば良い研究が増える、と政府は考えていたようだが、もくろみは外れ、研究の圧迫要因となっている。子どもたちの夢を政府が邪魔していいはずがない▼では、大臣はどうだろう。「なりたい職業」調査では、政治家はずっとランク外。現実の社会でも、なり手の不足が深刻化している。それでも国会議員になれば、やはり一度は手にしたいのが大臣というポストなのだろう▼第4次安倍再改造内閣が発足した。ふたを開ければ首相に思想信条が近い「お友達」や側近がずらり。組閣前日には早々と顔触れが固まり、何だか台本通りの芝居を見せられているようだった▼景気底上げ、社会保障改革、外交…。頼みたいことは山ほどあるが、それ以前に、子どもたちに聞かせられないような失言や不祥事だけはご勘弁を。ハードルが低すぎるかもしれないが、大臣に対する世間の期待など、案外そんなものだろう。肝に銘じて、くれぐれも謙虚に、誠実に。