8月22日付

8月22日 08:56

 何げなく追い抜いたタンクローリーにつけ回され命まで狙われる-。スピルバーグ監督の50年近く前の映画「激突!」だ。ストーリーは単純だが、タンクローリーの運転手の顔が出てこないことで車自体が意思を持っているかのような恐怖を感じた▼あおり運転が横行する現代を予言したかのようだ。実際に今年1月、あおり運転の末にバイクの大学生を死亡させたとして、乗用車の男に殺人罪を認定した判決が出た。さらにこれだけ社会問題になりながら、男女2人が逮捕されるあおり運転殴打事件まで起きたことにはあぜんとする▼殺人や暴力までいくと自分には関係ない特異例と考える人も多かろう。しかし、あおり運転自体は誰もがやりかねない行為のようだ▼怒りの感情と付き合うための心理トレーニングの普及を目指す「日本アンガーマネジメント協会」が今年6月、あおり運転の調査をした。9割以上が運転中にイライラした経験があり、そのうちの43%があおり運転をしていた可能性があると答えている▼急な割り込みなど運転中のイライラの種は尽きない。協会の安藤俊介代表理事が以前本紙で怒りを鎮める方法を紹介していた。怒りのピークはそれを感じてから6秒程度なので「反射的な行動をしないためにもイラッとしたらまず6秒待つようにしましょう」▼調査では、あおり運転をした時に9割以上が同乗者がいなかったと答えている。裏返すと、いれば歯止めになり得るということだろう。この点でも今回の事件は特異なようだ。