8月20日付

8月20日 08:23

 「白髪三千丈」という言葉がある。長年の憂いのために頭髪が白くなり長く伸びたことを、唐の詩人李白が誇張して歌った。そこから生まれた成語で、極端に誇張することを「白髪三千丈式の表現」などと言う▼こちらもその類いならいいのだが。「ほぼ無限」の長距離飛行が可能な、つまり世界のどこにでも届く巡航ミサイルだという。先ごろロシア北部の海軍実験場で爆発が起き、5人が死亡した。その原因とみられる原子力を推進力とする新型ミサイルのことである▼米国のミサイル防衛網を突破するための新兵器で、音速を大きく超えるマッハ5~10で飛ぶそうだ。事故直後、周辺の放射線量は自然放射線量の16倍に上昇。軍事産業筋は原子力ミサイル説を否定したが、真相は藪[やぶ]の中だ。不気味さが募る▼こちらも不気味さでは負けていまい。軍事専門家らの間で論争の的となっている人工知能(AI)を搭載した「殺人ロボット兵器」である。敵味方の識別や攻撃の判断に人間が全く関わらない自律型で、各国が開発にしのぎを削っているとされる▼まさに、SF映画「ターミネーター」に登場する殺人ロボットのよう。実用化されれば、人類史上で銃、核兵器に次ぐ軍事面での「第三の革命」になるとの指摘もある▼ロボット兵器の規制に向けて国連専門家会議がスイスで開かれるが、果たしてどこまで実効性があるのやら。根深い相互不信でがんじがらめになっているような世界の現状を思えば、誇張ではなくますます白髪が増えそうである。