8月12日付

8月12日 09:22

 延長十二回裏、1死走者なしからの劇的なサヨナラ本塁打だった。おととい行われた全国高校野球選手権1回戦。接戦の末に山梨学院を制した熊本工ナインの雄姿に、テレビの前で歓喜の声を上げた人も多かろう▼気温37度の猛暑の中でつかんだ勝利。照りつける日差しの中で、はつらつとプレーする球児たちを見ていると、エアコンの効いた室内で観戦するのが申し訳ない気さえする▼今夏の甲子園は、開幕前から大きな注目を集めていた。“令和の怪物”との呼び声高い大船渡(岩手)の佐々木朗希投手が、県大会決勝で連投を回避しチームは敗れた。同校には「なぜ投げさせなかったのか」と抗議が殺到。一方で「球児の将来を考えた英断」と評価する声も広がった▼先日の本紙に「高校野球 変わらなければ」の見出しで鈴木大地スポーツ庁長官のインタビュー記事が載った。長官は「『高校で燃え尽きてもいい』は時代遅れ。故障なく精いっぱい戦うことが重要」と語り、けがの予防につながる対策の強化を求めていた▼101回の伝統を誇り、注目度も群を抜く夏の甲子園で改革が進めば、他競技の先例にもなろう。投手の球数制限、開催時期や過密日程の見直しなど、検討すべき課題は山ほどある▼とは言っても、夢の舞台で躍動する球児たちを見ていると侃々諤々[かんかんがくがく]の議論はひとまず置いて、ただただ健闘を祈りたい気持ちにもなる。熊本工の次戦は第9日の第3試合。再び炎天下のゲームとなろうか。どうか故障なく、伸び伸びとプレーを。