7月12日付

7月12日 09:16

 「土」とは何か。学会が定義する「土壌」とは、岩の分解したものと死んだ動植物が混ざったものを指すそうだ。動植物の存在を確認できない月や火星に土壌はなく、あるのは岩や砂だけ、ということになる▼土の研究者、藤井一至さんの『土 地球最後のナゾ』(光文社新書)から引いた。地球は食物だけでなくさまざまな資源を生み出す土に恵まれた惑星であり、私たちはその恵みを享受しているという▼そんな豊かな土はもとより存在しないが、そこにある岩や砂は違った意味で恵みをもたらしてくれるかもしれない。きのう探査機はやぶさ2が2回目の着陸に成功した小惑星りゅうぐうである▼かつて天文学の世界では小惑星への関心は薄かった。そんな状況を嘆いた元東京帝国大教授で小惑星研究者の平山清次氏は1935(昭和10)年の著書に、彗星[すいせい]と小惑星は謎の天体であり、その謎が解けない限り太陽系の起源は不明だ、と記したという(山根一眞著『小惑星探査機「はやぶさ2」の大挑戦』講談社)▼それから80年余り。はやぶさ2は地球からはるか2億5千万キロ離れた宇宙でその謎に挑んだ。既に表面の岩石採取には成功したとみられており、今回は地下の物質採取が狙いだったが、その世界初の試みも見事に成し遂げ日本の技術力の高さを証明してみせた▼もうすぐ子どもたちは夏休み。自由研究のテーマとしてはやぶさ2の旅を取り上げてみては。宇宙の謎に目を向けることは、地球の大切さを再認識することにもつながるはずだ。