7月11日付

7月11日 09:15

 原石のような才能を見いだし、大きな舞台で花を咲かせる。職場であれ家庭であれ、人を育てた経験を持つ人なら、誰もがその難しさを知っていることだろう▼だからこそ、彼が残した偉業には脱帽するほかない。日本の芸能界に男性アイドルという分野を確立し王国を築き上げたジャニー喜多川さんが亡くなった。87歳だった▼男が人前で踊るなどもってのほか。そんな常識に真っ向勝負を挑み、「ジャニーズ」ブランドを頂点にまで押し上げた。2011年には「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」としてギネスに認定。時代を読む力にも秀で、多様なアイドル像を提供して幅広い世代から支持を得た▼その世界にどれだけの人が魅了され、笑い、涙し、声援を送ったことだろう。勢力が膨らむにつれて批判にさらされる機会も増えたが、世界観が揺らぐことはなく、多くのファンの期待に応え続けた▼テレビをはじめとする多くのメディアで、ジャニーさんを「第二の父親」と慕うアイドルやタレントたちが思い出を語り別れを惜しんでいる。ただ、自身の写真や肉声を伝える映像などはほとんど公開されていないようだ。ここからも自らは裏方に徹し、預かった才能を磨き上げることだけに腐心したジャニーさんの心意気が伝わる▼1年後には、東京五輪・パラリンピックが控える。世界の人々が注目する開会式や閉会式のステージで、手塩にかけて育てた最愛の「子どもたち」が光り輝くことを空の上から待ち望んでいるに違いない。