豪雨被災した人吉3件、国登録文化財に 公衆温泉新温泉、街蔵石倉、街蔵麹室

熊本日日新聞 | 2022年11月18日 18:32

公衆温泉新温泉の外観=人吉市

 国の文化審議会は18日、いずれも人吉市紺屋町にある公衆温泉新温泉、みそ・しょうゆ醸造元の施設として使われていた街蔵石倉(旧緑屋石倉)、街蔵麹室[こうじむろ](旧緑屋麹室棟)の3件を登録有形文化財にするよう永岡桂子文部科学相に答申した。3件とも2020年7月豪雨で被災したが、解体を免れて残った。県内の登録有形文化財(建造物)は計194件となる。

 新温泉は1931年ごろに建てられた木造平屋で、屋根は入母屋[いりおもや]造り鉄板ぶき。正面にひさしがあり、男女別に入り口を設け、内部には番台、田の字形に配置した脱衣室と浴場がある。大正から昭和にかけて造られた公衆浴場の典型的な形を残している。

 豪雨による山田川の氾濫で高さ5メートルまで浸水。保存活用を望む声を受け、経営者の永見明子さん(68)が公費解体の申請を取り下げた。現在、温泉の営業はやめている。

街蔵石倉の外観=人吉市

 街蔵石倉は1902年ごろの建築。みそ・しょうゆの原材料保管庫として使われ、41年ごろに道向かいの現在地に移築された。石造りの平屋で寄棟[よせむね]造りの瓦ぶき。近代に人吉球磨地域に多く建てられた石倉の遺構を伝える。

 街蔵麹室は41年ごろ、街蔵石倉に併設。木造一部コンクリートブロック造り平屋で、切妻[きりつま]造りの瓦ぶき。南側の軒を高くした招き屋根になっており、その上に小さな越[こし]屋根を備える。石倉とともに83年ごろまで使用されていた。

 石倉、麹室とも豪雨で4メートル近く泥水に漬かったが、元緑屋副社長で豪雨後に亡くなった父から受け継いだ上田賢一さん(65)=同市=が一部改修し、音楽演奏や展示会などイベントスペースとして活用している。

 このほか、同審議会は、明治時代にニシン漁で財をなした網元の屋敷「ニシン御殿」を宿泊施設に改修した「銀鱗[ぎんりん]荘旧本館」(北海道小樽市)など21都道府県106件の建造物を登録有形文化財にするよう文科相に答申。近く答申通り告示され、建造物の登録有形文化財は1万3639件となる。(中村勝洋)

街蔵麹室の外観(手前)=人吉市

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