障害児の「放課後」を活写 映画「ゆうやけ子どもクラブ!」 Denkikanで12月上映

熊本日日新聞 | 2020年11月30日 09:27

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ドキュメンタリー映画「ゆうやけ子どもクラブ!」の一シーン(C)井手商店映画部

 障害児が通う放課後デイサービス(放デイ)施設の活動を追ったドキュメンタリー映画「ゆうやけ子どもクラブ!」が12月4~10日、熊本市中央区のDenkikan(電気館)で上映される。障害者週間(3~9日)に合わせた企画。

 舞台は東京都小平市の「ゆうやけ子どもクラブ」。1978年、「障害のある子どもが放課後や夏休みに活動する場所が欲しい」という親の願いを受けて地域のボランティア5人が立ち上げた。当時、地域に障害児の居場所を設けるのは珍しく、放デイの草分けとされる。

 映画には、同クラブに通う小学1年から高校3年の子どもたちが登場する。知的障害や発達障害があり、人と交わるのが苦手な子も多いが、クラブで交流を重ねて成長していく姿が描かれる。悩みながら子どもたちと向き合う職員や、保護者の率直な声も拾っている。

 放デイは2012年の児童福祉法改正で制度化され、全国に浸透した。しかし、18年の報酬改定で多くの事業所が減収となり、閉鎖に追い込まれた例も少なくない。映画でもクラブが存続の危機に直面するシーンが描かれる。

 井手洋子監督(佐賀県出身)は「子どもたちの感情表現の豊かさや、大きな家族のように彼らを包み込むクラブの存在を、子育てに悩む保護者をはじめ多くの人に知ってもらいたい。障害児とどう向き合うか、観客も一緒に答えを探せるようにナレーションを入れない構成にした」と話している。

 5日午前11時からの上映後、井手監督が舞台あいさつに立つ予定。同館TEL096(352)2121。(平澤碧惟)