郷愁の趣、古典に登場 千年前の京で知られる 【守り神の島 宇土・風流島とノリ漁師㊤】

熊本日日新聞 | 2021年10月18日 14:30

風流島の鳥居に新しいしめ縄を飾り付け、手を合わせるノリ漁師たち=宇土市
南から見た風流島。左奥は金峰山
東から見た風流島。右奥は雲仙・普賢岳
風流島の鳥居に新しいしめ縄を飾り付け、写真を撮るノリ漁師たち
船の接近を感じ、風流島を飛び立つシラサギ

 熊本県宇土市住吉町の沖合の有明海に浮かぶ風流[たわれ]島。周囲約50メートルの岩礁の無人島は、たばこ島の名でも知られる。対岸にある住吉神社の飛び地境内で、海抜9・4メートルの頂上には鳥居が立つ。

 島は絶好の被写体として知られている。夕日と重なる姿を撮ろうと、11月下旬には緑川河口に多くの写真愛好家が集まる。

 赤く染まった穏やかな空と海に、鳥居が立つ島がシルエットとして浮かび上がる。奥にはノリ漁に使う無数の棒がおぼろげに見え、漁を終えた漁船や巣に帰る野鳥が写り込むことも。

 「人と動物の暮らしや郷愁を感じさせる」。毎年、撮影に来る愛好家の谷川秀嗣さん(72)=同市岩古曽町=は、魅力をそう語る。

 風流島は千年以上前から京の都でも知られていた。市教育委員会の大浪和弥学芸員によると、「春はあけぼの」で有名な平安時代の随筆「枕草子」に、風流島が記された可能性がある一節がある。「島は、八十[やそ]島。浮島。たはれ島。絵島。松が浦島。豊浦の島。まがきの島」-。筆者の清少納言が、趣のある島の名を挙げたものだ。

 このほか、伊勢物語や後撰和歌集など数々の古典にも登場する。熊本の海の玄関口だった緑川河口に近く、航行の守り神として信仰を集めていたという。

 島はこれまで、神社と地元の漁師が大切に守ってきた。ノリの種付け解禁前の今月4日、漁師たちは鳥居に新しいしめ縄を飾り付けた。この時季の恒例行事。日焼けした屈強な男たちは、漁の安全を祈り、手を合わせた。(池田祐介)

       ◇            ◇

 年に1度のしめ縄交換を通し、島にまつわる文化や人々の暮らしを見つめた。

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