校内の暴行事件、学校の対処どこまで? 教育現場「限界がある」 専門家「第三者調査の仕組みづくり必要」

熊本日日新聞 | 2021年10月12日 20:17

熊本市立中に通う長男(左)が上級生から受けた暴行について語る母親=9月中旬、熊本市

 熊本市立の中学校で7月下旬、1年の男子生徒が複数の上級生から暴行を受け全治1~2週間との診断を受けた。学校は暴行の事実を認めたが、加害生徒の人数やトラブルの背景は判然としない。教育現場からは「学校は捜査機関でも裁判所でもなく、事実を明らかにするには限界がある」との声が上がる。校内で起きた暴行事件。学校は何を、どこまでできるのか-。

 学校と被害生徒の両親らによると、男子生徒は7月20日の放課後、校内で2年の男子生徒数人から殴る、蹴るの暴行を加えられた。被害生徒は無抵抗のまま、左頭部が赤く腫れ、左腕には靴で踏まれたとみられる跡も残った。学校は保護者に連絡し、被害生徒はその日に病院を受診した。

 現場にいた2年の男子生徒3人は、学校の調べに「悪口を言われた」「妹がいじめられた」「部室のドアをふざけて開けた」と、暴行の理由を説明。被害生徒は「身に覚えがない」と否定している。一方、被害生徒が3人に暴力を振るわれたと訴えているのに対し、1人は「その場にいただけ」と認めていない。

 学校は保護者に謝罪。双方の生徒と目撃者から情報を集め、教師からも聞き取ったが、主張の食い違いは解消できなかった。校長は「学校として、できる限りのことをした」と説明。いじめや暴力は許されないと、全校生徒に改めて指導したという。

県南の中学校の部活動中に外部コーチの暴力を受け、中学1年男子の顔に残った傷(父親提供)

 同じ7月下旬に県南の中学校では、1年の男子生徒が部活動中に外部コーチから顔を蹴られるなどした傷害事件が起きた。この時は、生徒の父親がすぐに警察に被害を届け出た。父親は「指導の枠を超えており、法的裁きを受けてほしかった」とした上で、「学校であっても、都合の悪いことを隠す心理があるのは当たり前。警察や裁判に訴えるのは、解決の一つの手段になる」と話した。

 県内で起きた子どものいじめ自殺では、遺族が学校側の調査に納得せず、真相究明を司法に委ねるケースが続いている。

 学校問題に詳しい吉田道雄・熊本大名誉教授は「学校は生徒を信用する立場。意見に齟齬[そご]があれば、丁寧に事情を聴き続けるしかない」という。一方で「学校も当事者にならざるを得ない」として、第三者が迅速に調査できる仕組みづくりの必要性を訴える。

 上級生から暴行を受けた男子生徒の両親は「事実がはっきりせず、もやもやが消えない。このまま時間が過ぎ、なかったことにされては納得できない」と話している。(臼杵大介)

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