「危険な預け入れ」確認 熊本市の専門部会、昨年度下半期検証

熊本日日新聞 | 2020年9月2日 09:30

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2019年度下半期の「こうのとりのゆりかご」への預け入れ状況を検証した熊本市の専門部会=1日、同市議会棟

 熊本市は1日、親が育てられない子どもを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)について、保護責任者遺棄に当たる可能性がある危険な事例があったと公表した。市議会棟で同日あった「ゆりかご」の運用を検証する熊本市の専門部会(部会長・山縣文治関西大教授、6人)で市が報告した。

 専門部会は2019年10月~20年3月の預け入れ状況を非公開で検証した。子どもは扉の外に置かれ、低体温状態だった。命に別状はないという。置かれた場所や子どもの年齢などの詳細は「個人の特定を避けるため」として公表しなかった。

 部会は当初4月の予定だったが新型コロナウイルスの影響で延期し、県外在住の山縣教授ら2人はリモートで参加した。19年度に預けられた11人の年齢や預けた人などの詳細は部会の検証を受けて後日公表する。

 「ゆりかご」を運営する慈恵病院(同市西区)の蓮田健副院長は同日、子どもが扉の外に置かれる事例が1件あったと認めた上で「直後に母親から電話があり、刑法上の保護責任者遺棄罪には問われないと認識している。預けた女性が責められる事態になってはならない」と強調した。(深川杏樹)