「五木村翻弄するな」 ダム反対派、知事に意見書

熊本日日新聞 | 2020年9月11日 09:23

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「五木村を再び翻弄するな」と訴える川辺川ダムに反対する市民団体代表ら(左)=10日、県庁

 7月の豪雨災害を受けた熊本県の球磨川流域の治水対策について、川辺川ダムに反対する二つの市民団体が10日、蒲島郁夫知事に対し、「ダム建設の最大の犠牲者は中心部が水没する五木村。村を再び翻弄[ほんろう]してはいけない」とする意見書を提出した。

 「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」(熊本市)と「美しい球磨川を守る市民の会」(八代市)の2団体。県は現在、国や球磨川流域12市町村長と共に委員会を設け、今回の豪雨災害を検証している。

 意見書は、12年前の県議会で蒲島知事が「ダム建設計画を白紙撤回し、ダムによらない治水対策を追求すべきだ」とした決断を「英断だった」と評価。半面、今回の豪雨後に知事が「ダムも選択肢の一つ」と発言したことが、「五木村民の間に大きな不安と動揺をもたらしている」と危機感を訴えた。

 その上で、流域住民の意見も踏まえた合意形成のプロセスや、情報の全面公開、説明責任を最重視した検証と判断を求めた。

 市民団体側は、被災者の聞き取り調査を実施して結果を県に示すことも目指している。(太路秀紀)