治水、できるところから 川辺川ダム「必要」 【松谷浩一球磨村長】

熊本日日新聞 | 2020年10月2日 00:00

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◇まつたに・こういち 陸上自衛官、村社会福祉協議会事務局長などを経て、2018年に球磨村議。20年に任期途中で辞職し、村長選に出馬。3期目を目指す現職を破って初当選した。球磨工高出身。球磨村三ケ浦乙。57歳。

 7月の豪雨で、熊本県球磨村は25人の犠牲者が出た。住宅被害(9月末現在)も全壊339戸、大規模半壊31戸、半壊71戸と壊滅的な打撃を受けた。松谷浩一村長に被害をどのように受け止め、今後の治水対策や村の復旧復興をどう進めるのかを聞いた。(聞き手・小山智史、隅川俊彦)

 -被害をどう受け止めていますか。

 「球磨村では尊い25人の命が失われた。救えなかった人々のことを思うと本当に申し訳ない気持ちだ。自主防災組織の設立や球磨川水害タイムラインなど、村は防災の先進地とされていたが、これだけの被害が出た。これまで村が進めてきた防災活動について『これで良かったのか』との思いがある」

 「道路が寸断したことで復旧活動に時間がかかり、今もなお災害当初の姿を残す地域もある。改めてこの豪雨災害を振り返り、村として独自に検証する必要がある。再び災害が起きたとしても、犠牲者が出ないようにするのが私の仕事だ」

 -復旧・復興をどのように進めますか。

 「10月中には村の仮設団地も完成し、ほとんどの避難者は入居できる。避難所も閉鎖できるだろう」

 「村で実施した全世帯アンケートでは、再び村に戻りたいと回答する村民も多かった。そのような期待に応えたい。10月後半からは各地区や仮設住宅などで村民との座談会も始める。地区ごとに2、3回繰り返し、そこで出た意見は復興計画に反映することになる」

 -再燃した川辺川ダム建設への賛否を教えてください。

 「川辺川ダムは必要だと考えている。しかし、ダムがあれば100パーセント安全というわけではない。すぐにダムが建設されるわけでもないため、他の治水対策を含め、できるところから進めていく必要がある。流域市町村とも考えていかねばならない。村の代表である私が全ての責任を持って対応する」

 -14人の犠牲者が出た特別養護老人ホーム千寿園では、運営する社会福祉法人慈愛会が現地での事業再開を断念しました。

 「村の高齢者福祉を賄うには、今後も千寿園のような施設が必要だ。慈愛会側と別の場所での再建を含めて話し合いたい。そのためには土地の提供や造成などは必須だろう。場所は村が責任を持って確保する。県とも調整して進めたい」

 -過疎が進む村で、豪雨災害はさらに人口減少を招く可能性があります。

 「災害後の人口減少は、ある程度仕方ないと思う。まずは全村民が村に帰り、安全に暮らせるような場所を確保することが重要だ。かさ上げや宅地造成などの大胆な方法で、地区ごとでの再建を目指す。国や県に要望していきたい」

 -村の将来像は。

 「今回の豪雨は道路の寸断を引き起こし、集落の孤立と復旧の長期化を招いた。創造的復興を進め、災害に強い道路網を造ってもらうよう国と県に要望したい。本年度中に策定する復興計画を基に、できるだけ早く村の方向性を示したい」

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