ダム建設、民意の見極め必要 坂本の人口減「食い止める」 【八代市長・中村博生氏】

熊本日日新聞 | 2020年10月14日 00:00

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◇なかむら・ひろお 八代市議、県議会副議長を経て2013年、八代市長選に初当選した。現在2期目。球磨川流域12市町村でつくる川辺川ダム建設促進協議会では副会長を務める。中九州短期大卒。同市在住、62歳。

 7月の豪雨で、球磨川中流の熊本県八代市坂本町では4人の犠牲者が出て、1人が行方不明となった。支流沿いでも被害が発生し、全壊した建物は520戸を超える。町の復興や治水策について、八代市の中村博生市長に考えを聞いた。(聞き手・益田大也、木村彰宏)

 -今回の被害をどう受け止めていますか。

 「市民の命や財産を守れず申し訳ない。豪雨発生を予測するのに難しさもあったが、もっと早めに避難の呼び掛けができていればと思う。市坂本支所が水没して防災無線が使えなくなり、情報発信にも苦慮した。災害に強い設備整備も課題だ」

 -被害が集中した坂本町の復興をどのように進めますか。

 「もともと高齢化率が高く、人口減少が続いていた地域。今回の水害で『もう坂本には住みたくない』という声も聞くが、人口流出をどうにか食い止めたい。『住み慣れた場所で暮らしたい』というのが被災者の本心だと思う」

 「そのためには安全・安心に暮らせる場所が欠かせない。その見通しを早く示したい。ただ、山間部にある坂本町では高台に新たに土地を確保するには難しさもある。市坂本支所がある町中心部も、国が一帯のかさ上げをやるのか、まだ見えていない」

 -坂本町では住民でつくる自治協議会が、被災者への聞き取りを独自に進めるなど、精力的に動いています。

 「自治協は荒瀬ダム撤去後のまちづくりなどでも組織的に動いた経験を持っているからだろう。復興には地域の協力が欠かせない。年内に策定する復興計画にも、住民の意見をしっかり聞いて反映する。既に1回開いた地域懇談会では、国道219号などの道路や橋の復旧を強く望む声などを聞いた。今後も回数を重ねていく」

 -球磨川の治水は今後、どのように進めるべきですか。

 「萩原堤防(八代市萩原町、古麓町)を国が強化していたことで、今回は市街地の被害を免れたが、まだ治水は十分ではない。一定の流量をカットする川辺川ダムは必要だ。国土交通省、県、流域市町村で検討してきた『ダムによらない治水』は、さまざまな課題がある。例えば、遊水地整備には農地の買い上げに農家の理解を得られず、限界があったと感じる」

 「ただダムだけでも不十分で、堤防、護岸の強化やかさ上げなど、他の治水策も、より手厚く実施しないといけない。またダムの建設に当たっては地元の民意を見極める必要もある」

 -民意をどう見極めますか。

 「川辺川ダム建設が止まった12年前と、甚大な豪雨災害を受けた今の民意は変わっているのではないか。しかし、民意は捉えづらい。住民投票なら白黒はっきり付くが、地域に対立を生み、禍根を残す。豪雨検証委員会の内容を市民に丁寧に説明し、納得してもらうことが必要だろう」

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