「ゆりかご」の蓮田太二さん死去 慈恵病院理事長

熊本日日新聞 | 2020年10月26日 09:33

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蓮田太二・慈恵病院理事長

 慈恵病院(熊本市西区)理事長で、親が育てられない子どもを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を開設した産婦人科医の蓮田太二(はすだ・たいじ)さんが、25日午前11時37分、心筋梗塞のため同市の病院で死去した。84歳。

 通夜、葬儀は近親者のみで行う。副院長の健(たけし)さんは長男。

 1936年、国文学者の父・善明さん(植木町出身)が赴任した台湾で生まれた。熊本大医学部を卒業後、産婦人科医として同大学病院に勤務。69年、カトリックの修道会が運営する慈恵病院へ転任した。シスターらの献身的な医療に共感して病院にとどまり、71年院長。78年には病院を運営する医療法人を新たに設立、理事長に就いた。近年は糖尿病のため療養中だった。

 全国で相次いだ乳児の虐待死を受けて、2006年秋、ゆりかごの設置構想を公表。熊本市などとの協議を経て07年5月から運用を始めた。19年度までに155人の子どもが預けられている。

 ゆりかご設置と同時に、妊娠に悩む女性を対象とした電話相談も開始。親が育てられない子どもの特別養子縁組にも取り組み、300件以上の特別養子縁組につなげた。(豊田宏美、林田賢一郎)

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 献花式は28日午前10~午後5時、熊本市西区島崎2の10の11、カトリック島崎教会である。