蓮田太二さんへの献花次々と 熊本市のカトリック島崎教会
熊本日日新聞 | 2020年10月29日 10:08
親が育てられない子どもを匿名でも預かる「こうのとりのゆりかご(赤ちゃんポスト)」を開設し、25日に84歳で亡くなった慈恵病院(熊本市西区)理事長の蓮田太二さんの献花式が28日、同区のカトリック島崎教会で行われた。ゆりかごや特別養子縁組などを通じて親交のあった人たちが別れを惜しみ、感謝をささげた。
教会の御堂内に、トレードマークの黄色いシャツを着てほほ笑む蓮田さんの遺影を花で囲んだ祭壇と献花台を設置。約1360人が訪れ、白や黄色、ピンクのカーネーションを手向けて冥福を祈った。
蓮田さんは、2007年5月のゆりかご開設と同時に妊娠に悩む女性の電話相談を始め、親が育てられない子どもの特別養子縁組あっせんなど母子支援に力を入れた。
夫と共に訪れた熊本市の女性(41)は、同病院を通じて特別養子縁組をした長男を抱いて献花。「先生の取り組みがあったから私たちは息子と出会えた。本当に感謝しています」と語った。
大阪から家族と駆け付けた中学2年の吉藤奏[かなで]さんは、小学校の卒業論文でゆりかごを取り上げた際に蓮田さんと手紙を交わし、直接会って話をした。「母子の命を守るという強い思いを教わった。『あなたは素晴らしい人になる』と言ってくれ、優しい人だった」と涙ながらに話した。
熊本市の大西一史市長は「母子のために何をするべきかと、いつもひた向きに取り組んでおられた。とても残念だ」と肩を落とした。(深川杏樹)