科学的に合理性ある計画 球磨川治水、ダム不可欠 【自民党参院議員・足立敏之氏】

熊本日日新聞 | 2020年11月11日 00:00

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◇あだち・としゆき 兵庫県生まれ。京都大大学院修士課程修了。1979年に旧建設省入省。河川局河川計画課長、水管理・国土保全局長、技監などを歴任し、2014年退職。16年の参院選比例代表で初当選。66歳。

 国土交通省は2007年5月、川辺川ダムの建設を前提に球磨川水系の「河川整備基本方針」を策定した。その後、川辺川ダム建設は中止されたが、7月の豪雨を契機に建設の是非を巡る議論が再燃した。基本方針策定時の国交省の担当者だった自民党の足立敏之参院議員に、今回の被害の受け止めやダム建設の是非を聞いた。(聞き手・並松昭光)

 -国交省の河川計画課長としてダムを前提に球磨川水系の基本方針を策定されました。

 「川辺川ダムの水位低下効果で下流の洪水を軽減する考えだった。災害後、人吉市や球磨村、芦北町、八代市坂本町に入ったが、近年の水害でも特に激烈な被害だった。基本方針通りに進めていれば、これだけの犠牲はなかったのではないかと思うと、自責の念を強く感じる」

 -蒲島郁夫知事が08年9月にダム建設を白紙撤回した後、国交省も一緒に「ダムによらない治水」を検討してきました。

 「当時も今も、私は球磨川流域の治水にはダムが不可欠だと思っている。ダムによらない治水策をいろいろ検討してもらったが、その手法は残念ながら現実的ではなかった」

 -国交省は12年間、「現実的ではない」対策を積み上げてきたのですか。

 「批判は指摘の通りだが、治水は科学的に整理すべき問題だ。球磨川流域は本流と支流・川辺川が人吉で合流し、大きな被害が出やすい地形。そのため、本流と支流の出水のタイミングを調整する必要がある。流域特性からダムが科学的に合理性のある計画だった」

 -河川管理者である国の責任を問う声があります。

 「川辺川ダムは09年、民主党政権の前原誠司国交相が計画中止を発表した。一方、同時に中止とされた八ツ場ダム(群馬県)は流域首長の反対で着工に転じ、昨年の台風19号では利根川の治水安全度を高める役割を果たした。川辺川ダムは全国的なダム反対運動の高まりを受け、科学的な問題が政治的な問題にすり替わってしまった」

 -国交省は、川辺川ダムがあれば人吉市の浸水面積が6割減少するとの推定を示しました。「ダムの効果を強調しすぎだ」との声もあります。

 「国交省が導いた数値は、洪水の痕跡なども加味して解析した妥当なものだ。科学的なデータを自分のイメージと違うから批判するという姿勢では過ちを繰り返す。受け止めてもらいたい」

 -国交省、県、流域市町村は球磨川でも「流域治水」を進める方針ですが、具体的なイメージは。

 「ダムや堤防整備によらず、治水が達成できると考えるのは誤解。地球温暖化で近年、雨の降り方が激しくなっており、できる限りの対策をとるべきだ。川辺川ダムをつくり、本流の市房ダムも洪水調整容量を増やす方向で改造が必要。さらに遊水地などの方策、ソフト対策を組み合わせてベストな計画を検討し、全国のモデルにしてほしい」

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