(277)遠くても友情はそばに モザンビーク「コミュニティー開発」小森田渚(29)

熊本日日新聞 | 2020年11月20日 13:39

image
2018年8月ごろ、現地農家の稲作研修で集まったスタッフとモザンビークの人たち。2列目右端が筆者

 任期を終え、モザンビークから帰国して2年がたちました。今は高校で保健体育の教員として働いていますが、任地での主な活動が所得向上を目的とした農産物の生産・指導だったこともあり、教え子に協力隊での経験をなかなか伝えられずにいました。

 そんな時、今夏の7月豪雨が起きました。高校がある街も土砂崩れや家屋の浸水等の被害に見舞われ、多くの生徒が被災。大切な人を失ったり、家に戻れなくなったりした人がテレビで放送されるたびに胸が痛み、落ち込んでいました。

 そこへモザンビークの友人からメッセージが届きました。「災害に負けないで。頑張れ。応援している」。たった数行でしたが、その励ましで気持ちが楽になり前向きに物事を考えられるようになりました。どんな場所にいても、どんなに時間がたっても、結び付いた友情はいつも私のそばにあり、そして、いつでもその友情に励まされ、背中を押される瞬間があることを実感しました。

 今では、協力隊時代の体験を交えて、自分の気持ちを言葉や行動にしてコミュニケーションをとることや、互いに苦手なことをフォローをし合ってスポーツをする大切さを授業で教えています。

 地域や人同士のつながりが薄れてしまった今日、アフリカの友人たちから得た学びを生かしていく必要があると感じます。これからも結び付いた縁を大切に、生徒たちにも「人とのつながりの大切さ」を伝えていくつもりです。(菊池市出身)