洋式トイレ48%、熊本県内の公立小中学校 全国平均下回る 文科省は改修推進

熊本日日新聞 | 2020年11月12日 11:30

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全面建て替えに伴い洋式便器が整備された東野中のトイレ=10月、熊本市東区

 熊本県内の公立小中学校の個室トイレで、便器が洋式なのは48・4%で、全国平均の57・0%を下回っていることが文部科学省の調査で分かった。県内14市のうち、最低は熊本市の37・6%で、同市は来年度から10年間かけて校舎内の便器の洋式化を進める。

 調査は2020年9月時点。県内の公立小中学校498校に個室トイレは2万1690室あった。このうち便器が洋式なのは1万506室だった。洋式の割合が高いのは球磨村(100%)、菊陽町(84・7%)小国町(82・4%)の順。低いのは西原村(29・6%)、山都町(33・7%)、熊本市だった。

 文科省は、熊本地震で多数の学校施設が避難所となり、和式便器が敬遠されたことをきっかけに16年度に初の調査をした。この時と比べ、最も伸びたのはあさぎり町(81・3%)の55・1ポイント増。7・8ポイント低下した多良木町(52・8%)は、1小学校の休校が影響したという。

 134校を抱える熊本市は2・5ポイント増にとどまった。市教委によると、ここ数年は熊本地震からの復旧やタブレット端末、エアコンの整備に予算を充てたため、洋式化が進まなかったという。学校現場からはトイレ改修を望む声が多く、市は小学校を6~7年かけて洋式化した後、中学校を整備する方針。総額約10億円を見込む。

 一方、市教委は、熊本地震で施設が被災した東野中と帯山中の全生徒を対象に、和式を残すかどうか確認するためアンケート調査を実施。その結果、中3女子は和式を望む声が約40%を占めた。「自宅などはほとんど洋式にもかかわらず、和式を望む声が多かったのには驚いた」と内山智・学校施設課長。和式を一部を残すことにした。

 都道府県別の最高は富山県の79・3%、最低は島根県の35・3%だった。同省は「100%を目指す必要はないが、バリアフリーの観点から洋式化の促進が望ましい」としており、改修費の3分の1を補助している。(山口尚久)