「挑戦目に焼き付けて」 競泳・富田、東京パラへ意気込み
熊本日日新聞 | 2020年11月18日 16:00
来年の東京パラリンピック競泳への出場を目指す済々黌高出身の富田宇宙(日体大大学院・EYジャパン)が17日、熊本西高で講演会を開き、「代表になって金メダルを取り、みんなと喜びを分かち合いたい」と抱負を語った。
31歳の富田は昨年9月にロンドンであったパラ競泳世界選手権の全盲クラス(S11)2種目で銀メダルを獲得。来年5月の選考会で代表入りが有力視されている。講演会は県内で小中高校と特別支援学校の計23校が認定を受けたオリンピック・パラリンピック教育推進校へのスポーツ庁の講師派遣事業として実施。普通科体育コースの1~3年109人が聴講した。
富田は水泳部だった高校2年時に視野が欠けて目が見えなくなる網膜色素変性症を発症したが、日大で競技ダンスでインカレに出場した経験や7年ほど前からパラ競泳に取り組んでいることを紹介。「診断を受けた時は人生が終わったと自暴自棄になったが、自分の強み(個性)を生かせる道を考えるようになってから可能性が広がった」と明かした。
パラ競泳の魅力として一人一人の障害の背景や部位が異なる点を挙げ、「オンリーワンの選手がそれぞれの個性を生かして勝負する面白さがある。普通だったらできないと思えることに挑戦してクリアしていく姿を目に焼き付けてほしい」と思いを伝えた。
また障害者として、健常者と垣根のない社会の実現を目指しているとして、「周囲と特徴が異なる人がいても、自分の中に障害をつくらないで」と訴えた。
ラグビー部2年の下村慎さんは「富田さんの言葉が胸にしみた。自分にできることに全力で励みたい」と話した。(後藤幸樹)