安全な住まい…どこで再建 豪雨被災の球磨村、面積9割が山林

熊本日日新聞 | 2021年07月20日 15:00

浸水被害を受けてリフォームした自宅に住んでいる今村利彦さん。一帯が遊水地の整備候補地に選ばれ、落ち着かない日々を過ごしている=18日、球磨村渡

 昨年7月の豪雨で被災した住民を対象にした住まい再建の意向調査で、25人が死亡するなど甚大な被害が出た熊本県球磨村では、55%の119世帯が再建場所をまだ決めていないと答えた。面積の約9割を山林が占める球磨村。安全な再建場所の確保が難しく、村内の被災者は将来像を描けずにいる。

 「村はなるべく早く安全な住まいの場所を用意してほしい」。球磨村渡の村総合運動公園の仮設住宅に暮らす地元郵便局長の白石将司さん(41)は、ため息をついた。

 家族4人で暮らしていた村営住宅は総合運動公園より低い位置にあり、球磨川の氾濫で水没、解体された。水害のリスクがあり、村は治水対策を講じないまま現地に再建する予定はないという。

 村が渡など3地区に整備する方針の災害公営住宅(復興住宅)に入れば、「これまでより家賃が増える可能性がある」と白石さん。経済負担が比較的少ない村営住宅への入居を望んでいる。

 これとは別に、村は宅地の候補地8カ所を示した。整備時期など具体的な計画は未定。希望する村営住宅の再建も未定のため、白石さんは「村づくりの全体像が示されないと何もできない。希望がかなわなければ、離村も考えざるを得ない」と不安を隠さない。

 実際に離村を考えている被災者もいる。渡の山口集落の自宅が全壊したアルバイト男性(65)は、人吉市下原田町のみなし仮設に妻子と3人で生活。地元に戻りたい気持ちがあっても、「妻が再び水害に遭うことを恐れており、戻るのは無理だろう」と打ち明ける。今は渡に近く、高台のため水害の恐れが少ない下原田町で中古物件を探すつもりだ。

 安全な宅地が少ない事情に加え、球磨川の治水方針が定まらないことも将来像を見えにくくしている。

 渡の今村集落で農業を営む今村利彦さん(78)は、自宅が2階まで浸水。約800万円かけてリフォームしている最中、国が一帯を遊水地の整備候補地に選んだことを知った。

 遊水地整備が決まれば高台移転はやむを得ないと考えている。しかし、遊水地の具体的な計画や、補償案は国から何も示されていない。

 「安心した生活を送りたい。早く具体的内容を説明してほしい」。4月下旬にリフォームが済んだ自宅で、今村さん夫妻は落ち着かない生活を続けている。(小山智史、中村勝洋)

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