「無党派の風」どこに 衆議院任期満了まで3カ月 熊本選挙区、各陣営も神経とがらす

熊本日日新聞 | 2021年07月19日 15:00

次期衆院選の立候補予定者の演説に耳を傾ける有権者ら=18日、熊本市

 衆院議員の任期満了まで21日で残り3カ月となり、衆院選が刻々と近づく。目前に迫った東京五輪・パラリンピックや新型コロナウイルスの感染状況は、有権者の判断にどう影響するのか-。都市部の無党派層を多く抱える熊本1、2区では、民意の行方に立候補予定者や各政党が神経をとがらす。

 「業者に圧力を加えるのは言語道断。憲法違反だ」。13日、国会内で開かれた自民党の議員連盟の緊急総会で、熊本2区現職の野田毅氏が声を荒らげた。コロナ対策に従わない飲食店との取引停止を酒類販売業者に求めた政府への苦言。総会後、野田氏は「現場や市井の声にもっと謙虚に耳を傾けるべきだ」と世論の反発に警戒感をにじませた。

 2区で野田氏に挑む無所属新人の西野太亮氏は18日、熊本市南区のJA選果場でマイクを握った後、「コロナ禍で困難な社会の状況を乗り越えるため、きめ細かな経済対策を進めることに力を注ぎたい」。保守系として政権批判は控えたが、有権者の不満を受け止めて国政に新風を吹き込みたい考えだ。

 続く敵失

 衆院選の前哨戦とされた東京都議選はコロナ禍の微妙な有権者心理が働き、「勝者なき選挙」と評された。五輪の無観客開催を掲げた都民ファーストの会は序盤の劣勢をはね返し、都議会第2勢力を確保。自民は第1党を奪還したものの、公明党と合わせても過半数に届かなかった。

 「ワクチン不足の混乱や強引な五輪開催など、菅政権に都民がノーを突きつけた」と共産党県委員会の松岡勝委員長。熊本2区では新人の橋田芳昭氏を擁立し、都議選と同じく票の積み上げを狙う。

 熊本1区に出馬する立憲民主党新人の濱田大造氏も「敵失が続き、衆院選で政権交代が起きてもおかしくない」と勢いづく。ただ、共同通信の調査では、立民の最新の支持率は前回より伸びたものの11%強。自民とは依然30ポイント超の開きがある。県連幹部は「旧民主党政権への不信感が残っており、都議選で都民ファーストに吹いた自民批判の追い風が、うちに吹くとは限らない」と慎重だ。

選挙の顔

 自民は都議選の不振以外にも、4月の衆参3選挙や与野党対決型の各県知事選で敗北が続く。党内には「選挙の顔」となる菅義偉首相への不安感がくすぶる。

 10日、党総裁として熊本など九州各県連とのオンライン会合に臨んだ菅首相は「一日も早く全ての希望者にワクチン接種ができるよう総力を挙げる」と力説した。ワクチン接種を進め、五輪・パラリンピックをやり遂げて衆院解散に踏み切るのが、首相の基本戦略とされる。

 補佐官として首相を支える熊本1区現職の木原稔氏は「五輪が成功し、ワクチンが国民に行き渡れば、感染者数が抑えられる。解散時期が遅くなるほど、内閣支持率は上がってくる」と期待を込める。

 しかし、大半の会場が無観客となる異例の五輪への評価や、今後も予想されるコロナの感染再拡大など、衆院選に影響を及ぼす不確定要素は少なくない。

 自民県議の一人は言う。「新しい選挙の顔を求める『菅下ろし』の動きが今後出てくるかもしれない。だが、それは最悪の選択だ。党内のごたごたを有権者が快く思うはずがない」(潮崎知博、内田裕之、高宗亮輔)

記事アクセスランキング

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note