「不適切会計加担で精神疾患」 KKT元社員が提訴 東京地裁
熊本日日新聞 | 2020年9月4日 14:00
熊本県民テレビ(KKT)の不適切な会計処理に加担させられるなどして精神疾患を発症したとして、元経理部長の男性(52)=東京都=が、KKTや当時の社長らに約675万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。3日、第1回口頭弁論があり、KKT側は棄却を求めた。
提訴は4月1日付。訴状によると、KKTは2017年度の純利益の赤字転落を避けるため、経営陣が17年3月、備品購入費やアプリ開発費、広告収入の一部などを他年度に計上すると決定。男性は反対できず、「不正な会計処理の実施」に加担させられた。
また、KKTが経費削減のため17年4月に設立した経理業務を担う子会社について、男性は「幹部の再就職先の確保が主目的。経費負担を大幅に増やすものだ」と主張。幹部に再考を促すと、「経営陣に歯向かう邪魔者扱いされ、精神的苦痛を受けた」という。
さらに、KKT経理部の他部員が子会社に異動。男性は1人残され、業務量の増加などからそううつ病を患ったとした。男性は18年2月に退職。子会社は19年秋に解散した。
KKTは19年6月に熊本国税局から重加算税を含む追徴課税を課され、7月に法人税など約2800万円を納付している。
KKTは「原告の訴えには理由が無く、全面的に争う。当社の主張は裁判の中で明らかにしていく」とコメントした。(國崎千晶)