万江川沿い唯一の店、プレハブで再開 上流の村人、買い物支える 熊本豪雨被災の藤田さん(熊本県山江村)

熊本日日新聞 | 2021年06月19日 10:36

営業を再開した仮店舗で品出しをする藤田義治さん=8日、山江村の藤田商店

 昨年7月の豪雨災害で被災した熊本県山江村万江の「藤田商店」が営業を再開している。村を流れる万江川沿いで唯一の商店。店主の藤田義治さん(66)は「店を畳むと生活が不便になる村民がいる」と、近くに建てたプレハブ店舗で営業を続ける。

 店は義治さんの曽祖母キヨさんが明治時代、淡島神社近くの万江川左岸で始めた。当初は主に林業関係者にうどんや豆腐、アルコール類などを振る舞っていたという。戦時中は配給所、その後は野菜や作業道具などを売る商店になるなど、時代の移ろいに合わせて店も変わってきた。

 7月豪雨では、目の前を流れる万江川が氾濫。午前4時ごろ、木造2階建ての自宅兼店舗の1階で寝ていた藤田さんは、足元が水にぬれた感覚がして目が覚めた。辺りはまだ暗く、避難した2階からは状況は分からないまま。建物が約2メートル浸水するのに時間はかからなかった。

 水に漬かった商品や冷蔵庫などの電化製品は全て廃棄。今後の水害リスクや人口減などへの不安から、すぐには再建へ前向きにはなれなかった。しかし、店がなくなると万江川上流に暮らす人々は、人吉市内まで買い物に行かなければならなくなる。常連客からも再開を後押しする言葉をもらい、藤田さんは「やるしかない」と自らを奮い立たせた。

 元の敷地の近くにプレハブを建て、1月にオープン。売り場面積は約26平方メートルと以前の半分となり、品数も減らさざるを得なかったが、常連客とたわいもない冗談を言い合える日常を、少しずつ取り戻しているという。

 店舗の再建時期が見通せないなど不安が残る中、移動販売車を購入した。高齢化が進む村で、村人が買い物弱者にならないよう、将来を見据えてのことだ。藤田さんは「下を向いてはいられない。住民のためにできることを続けたい」と力を込める。(小山智史)

記事アクセスランキング

  1. ${ranking.title}

※アクセス数(24時間以内)を元に集計

フォローする

  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • youtube
  • note