慈恵病院、内密出産「独自に準備」 熊本市の要求応じず

熊本日日新聞 | 2020年12月16日 10:27

「内密出産」に関する熊本市の回答書について会見する慈恵病院の蓮田健院長=15日、熊本市西区
「内密出産」に関する熊本市の回答書について会見する慈恵病院の蓮田健院長=15日、熊本市西区

 慈恵病院(熊本市西区)の蓮田健院長は15日、匿名を望む妊婦の「内密出産」に関する病院の公開質問状に対し、同市が実施しないよう求めた回答について「事例が先行しないと行政は動けないことが分かった。独自に準備するしかない」として、市の求めに応じない意向を示した。

 病院は質問状で、内密出産を実施する場合に厚生労働省が必要とした市の「指導」を求めていたが、市は実施を控えるよう回答。このため蓮田院長は、母親の身元情報管理や子どもへの情報開示の方法などを同省に問い合わせた上で、独自に準備を進めるという。

 内密出産となった場合、市が母親の情報開示を病院に求めるとした点については「医師には守秘義務がある。本人の同意がなければ応じない」とした。

 蓮田院長は「内密出産を希望する妊婦はいつ訪れるか分からない。母子を守るために体制を整えておきたい」と話した。(深川杏樹)