5月2日付

05月02日 13:44

 きのうの小欄で「兎」と「兔」が混在しました。いずれもウサギで、意図した使い分けでなく変換ミス。慎重に書かなければと改めて肝に銘じた次第です▼さて、風薫る5月。しかし先人は、この月に蠅[はえ]を加えて「五月蠅[うるさ]い」と読ませた。何でも陰暦5月になると、「五月蠅[さばえ]」と呼ばれる蠅が群がりうるさいことから、当て字の五月蠅いになったという▼そんな嫌われ者に一茶のまなざしは温かい。<やれ打つな蠅が手をすり足をする>。以来、およそ200年。命乞いに見立てられたしぐさが世のため人のために役立てられているとは、江戸時代の俳人には思いも寄らないだろう▼その役割とは野菜や果物に実をつけさせる授粉。蜜蜂の代わりに花から花へ、実用化されて10年余りになる。蠅を提供するのは岡山市のジャパンマゴットカンパニー。佐藤卓也社長によれば、出荷先は熊本のイチゴやマンゴー農家を含め全国に及ぶ▼背景にあるのは蜜蜂の不足。活動できる気温の幅が蜜蜂より広かったり、体が軽く花を傷つけにくかったりというメリットがある。蜂のように刺される心配もない▼良いことずくめのようだけれど、課題もある。衛生管理は徹底しているものの、そのイメージ。ビーフライとの商品名を使用しているが、本当の名はヒロズキンバエである▼もともと同社は幼虫うじを医療用に提供。最近は農業用の注文が増えた。一茶ならずとも、蠅がいとおしく思えてくる。その上で感心させられるのが蠅も働かせてしまう人間の知恵である。

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