B型肝炎判決 救済制度枠組み見直しを

04月28日 09:17

 集団予防接種を原因とするB型肝炎を20年以上前に発症し、その後再発した患者に国への賠償請求権があるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁は請求を認める判断を示した。被害の実態に即して患者の救済を図る適切な判断だと言える。

 この裁判では、賠償請求権が自動的に消滅する「除斥期間」の20年が、いつから始まるかが争点だった。被告の国は「最初の発症時」と主張。原告側は「再発時とすべきだ」と訴えてきた。

 原告の2人は福岡県内の慢性患者で、20年以上前に初めて発症。いったん治療などで症状が治まったが、後に再発して提訴した。判決は「どのような場合に再発するか医学的に解明されておらず、最初の時点で後の発症による損害を求めるのは不可能」とし「最初の発症と質的に異なる損害が生じた」と指摘。提訴時には除斥期間が過ぎていないと結論付けた。

 除斥期間は、時間が経過してからの請求で加害者側の反証が難しくなるのを踏まえ、法律関係を早期に確定するための考え方。これまでハンセン病や、旧優生保護法の被害を巡る国家賠償請求訴訟でも、「被害救済の妨げになっている」と争われてきた。

 戦後間もなく始まった集団予防接種を巡っては、国が40年近く注射器の使い回しを放置したためB型肝炎ウイルスに感染したとして各地で患者らの提訴が相次いだ。

 最高裁は2006年の判決で国の責任を認め、その後施行された特別措置法に基づき救済の枠組みが整えられた。慢性肝炎の場合、発症から提訴までの期間が20年以内であれば、1250万円の給付金が支給される。ただし20年を超えて提訴すると、300万~150万円になる。判決後の協議の中で、国側が除斥期間による線引きを強く主張したためだ。弁護団は早期解決のため応じた。

 今回訴訟の原告のうち1人の給付金は300万円とされていた。全国B型肝炎訴訟弁護団によると、除斥期間の起算点を巡っては再発患者111人が札幌、仙台、東京、静岡、名古屋、大阪など15地裁と広島、福岡の2高裁で争っている。最高裁の判断が、これら同種訴訟の審理に影響を及ぼすのは間違いない。

 さらに今回の判決は補足意見で「迅速で全体的な解決を図るため、被害救済で国の責務が適切に果たされることを期待する」とした。全国B型肝炎訴訟の原告・弁護団は早速、国に協議を求める要請書を提出している。

 国は各地の訴訟で争う姿勢を転換するとともに、除斥期間の経過を理由に給付金を減額する現在の特措法の救済枠組みを、早急に見直す必要がある。

 国内には自分がかかっているのを知らない「無症状」の患者がまだ多くいるという。国には救済制度などを周知する役割も求められている。被害救済は道半ばである。国は真摯[しんし]に当事者と向き合い、全面解決に向けて手を尽くすべきだ。

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