豪雨の犠牲者20人中19人「支流氾濫が原因」 ダム反対派が独自調査 人吉市

熊本日日新聞 | 2020年12月12日 11:11

豪雨の犠牲者20人中19人「支流氾濫が原因」 ダム反対派が独自調査 人吉市
人吉市の地図などを手に説明する「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」の木本雅己事務局長(右)ら=11日、県庁
人吉市の地図などを手に説明する「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」の木本雅己事務局長(右)ら=11日、県庁

 川辺川へのダム建設に反対する市民団体が11日、熊本県庁で記者会見し、7月の豪雨による人吉市の死者20人のうち、19人は「球磨川本流が氾濫する前に、支流の氾濫が原因で亡くなった」とする独自の調査結果を発表した。

 清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会(人吉市)を中心に、災害の直後から調査。犠牲者の近所の人や浸水被害者約50人から話を聞き、防犯カメラの映像なども集め、水の流れと被害の実態を調べた。

 その結果、支流から氾濫した水が、市内の低地である球磨川本流沿いに向かって急激に流れたため、19人は本流から水があふれる前の午前7時半すぎごろまでに亡くなったとした。支流別では万江川などが原因で4人、胸川などで2人、山田川や御溝(川)などの氾濫で13人が亡くなったとした。

 猫を助けに自宅に戻ったとみられる女性(61)は亡くなった時間が推定できておらず、今後調べるという。

 流域郡市民の会の木本雅己事務局長(69)は「支流が原因である以上、川辺川上流にダムを造って球磨川本流のピーク流量を下げても犠牲は減らない」と主張した。

 これに対し、県球磨川流域復興局は「本流の水位が上がっていたため、支流の水が本流に流れ込めず、氾濫した」と分析。さらに、支流で氾濫した水の量は本流との比較では少量であり、「本流の水位を下げることが犠牲を減らすことにつながる」と説明した。(太路秀紀、堀江利雅)