3選挙で自民全敗 政権は直ちに軌道修正を

04月27日 09:14

 菅政権にとって初の国政選挙となった衆院北海道2区・参院長野選挙区の補欠選挙と参院広島選挙区の再選挙は、4党共闘で臨んだ野党候補がいずれも当選し、自民党は不戦敗を含め全敗を喫した。

 衆院議員の任期満了が10月に控える中、3選挙は次の総選挙の前哨戦と位置付けられていた。自民党総裁でもある菅義偉首相の痛手は大きい。与党内には早期解散への慎重論に加え、菅首相の下で衆院選に打って出ることへの懸念も広がりそうだ。

 自民王国と呼ばれていた広島を含む全敗は、相次ぐ「政治とカネ」の問題にけじめをつけようとせず、コロナ対策でも有効な対策を打ち出せないまま後手に回っている政権への不信感が広がっていることの表れと言える。首相は結果を謙虚に受け止め、直ちに政権運営の軌道修正を図るべきだ。

 北海道2区は、吉川貴盛元農相(自民離党)が収賄事件で議員辞職したことを受けての補選で、自民は候補者を擁立しなかった。広島は公選法違反(買収)で有罪となった河井案里前参院議員(自民離党)の当選無効を受けての再選挙、長野は新型コロナウイルスに感染した立憲民主党の羽田雄一郎元国土交通相の死去に伴う補選だった。自民は公明党の推薦を得て戦ったが、立憲民主、国民民主、共産、社民の4党が共闘し総力戦で挑んだ野党に及ばなかった。

 広島の再選挙の発端となった一昨年の参院選を巡っては、自民党本部から河井氏の陣営に投入された1億5千万円の使途が今も分かっていない。その参院選で河井氏を熱心に応援したのが、当時官房長官だった菅首相だった。広島で今回敗北したのは、首相や与党の釈明に有権者が納得していないからにほかならない。さらに首相は、長男らによる官僚接待問題でも説明責任を果たしていない。

 政権不信はコロナ対策でも広がっている。首相は事あるごとに「できることは全てやる」と繰り返すが、ワクチン接種は遅々として進まず、病床の確保でもリーダーシップを発揮しているとは言い難い。感染拡大を抑えることができないまま、25日には3度目の緊急事態宣言が発令された。とはいえ政権への信頼を欠く中では、政府が国民に休業や外出自粛などへの協力を求めても十分な効果は期待できそうにない。

 不信の原因は独善的と批判される首相の姿勢そのものにもある。7カ月余りの政権運営のどこに問題があったのか洗い出し、改めるべき点を速やかに改めない限り、信頼回復の突破口は開けまい。

 一方、全勝した野党各党では、次の総選挙でも共闘関係が維持できるかが課題となる。今回の3選挙でも、各選挙区では党が掲げる政策の違いや、労働団体などへの配慮から不協和音が生じたようだ。民意の新たな受け皿となる気があるのなら、野党もそれぞれ軌道修正する必要がある。全勝は敵失による結果にすぎないことを肝に銘じ、政権担当能力の構築につながる議論を深めるべきだ。

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