4月20日付

04月20日 09:09

 記者を長年やっていると、時として思いも寄らない場面に出くわすことがある▼熊本城の二の丸公園で「小泉ヘルプ」とペイントされた牛に突進され悲鳴を上げたのは2002年。狂牛病の影響で牛肉価格低迷に苦しむ農家が、政府への抗議の意味を込めて放置した牛だった。09年には、夜の天草で車と見間違うほど大きなイノシシと鉢合わせした。恐怖で手が震え、写真も撮らずに逃げ出したことが今も悔やまれる▼そして先日はシカである。熊日本社の駐車場に迷い込んだ、との熊本市からの電話をたまたま受け、すぐに現場に駆けつけて捕獲までの一部始終を見届けた▼駐車場内の植え込みに潜んでいたのは、角もない小柄なシカだった。とはいえ逃げ足は速く、捕獲できたのは奇跡的と言っていい。逃げ惑うシカに市職員や警察官が悪戦苦闘する様子は「熊日電子版」の動画で見ることができる▼「大勢で追いかけ回さなくても」「山に逃がせば良かったのでは」との声もある。けれど、駐車場の近くには幼い子ども連れや小学生らもいた。捕獲のタイミングが少しでも前後していれば、けが人が出てもおかしくはなかった。食害に悩まされている人々のことを思えば、逃がすのも妥当な対応とは言えまい▼市も、今回のように市街地でシカを捕獲したのは初めてだったという。いったいどこから、どのようにしてたどり着いたのか。ひょっとして、奥山や里山が荒廃していることを伝えに来たのか。さまざまな想像も膨らんだ白昼の騒動であった。

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