日米首脳会談 対中緊張緩和促す戦略も

04月18日 09:28

 菅義偉首相は16日(日本時間17日)、ホワイトハウスで、バイデン米大統領と初めて対面で会談した。両首脳は日米同盟の結束を示す共同声明をまとめ、中国が覇権的な動きを強める台湾海峡の情勢について「平和と安定の重要性を強調」と明記した。

 日米首脳が共同声明で台湾に言及するのは、1969年の佐藤栄作首相とニクソン大統領の会談以来で、72年の日中国交正常化以降では初めて。今年3月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書からも表現を強め、中国への対抗姿勢を鮮明にした。

 ただ一方で共同声明は、台湾問題についてあくまで「平和的解決を促す」とした。さらに他の問題についても「中国との率直な対話の重要性を認識」とした上で、共通の利益を有する分野については「中国と協働する必要性を認識」と記し、圧力一辺倒ではなかったことにも注目しておきたい。

 民主主義や基本的人権といった普遍的価値を共有する日米同盟の強固さを示して中国をけん制しつつも、対話の門戸は開き決定的な分断は避ける姿勢を示したものとも言えるだろう。菅政権としては今後、米中対立のさらなる激化を避け、緊張緩和を促す独自の外交戦略づくりも求められる。

 会談は安全保障や人権問題、経済連携、気候変動など幅広い分野に及んだが、一貫して念頭に置いたのは台頭著しい中国の存在だった。

 両首脳は「自由で開かれたインド太平洋」実現への連携を確認し、東・南シナ海情勢について、中国の「力による現状変更の試みと地域の他者への威圧に反対する」ことで一致。香港や新疆ウイグル自治区の人権状況を巡っても「深刻な懸念を共有する」とした。

 また、中国の船舶が領海侵入を繰り返す沖縄県・尖閣諸島に関し、米国による防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用対象になることも改めて確認した。

 米中対立を「21世紀の民主主義と専制主義の闘い」と位置付けるバイデン氏に、菅首相も足並みをそろえて中国包囲網を構築する姿勢を示した形だ。在米中国大使館は早速、「強烈な不満と断固とした反対を表明する」と反発した。

 しかし、前述したように、共同声明は中国に対し重ねて対話を求めた。その姿勢を同時に実践してみせるかのように、バイデン政権は日米首脳会談に合わせてケリー大統領特使を中国に派遣。気候変動対策についての米中協力を協議した。

 人権や法の支配などの基本的価値を対立軸に据えることで、経済偏重だったトランプ前政権より米中間の溝は深くなることも予想される。一方で、バイデン政権は「米国第一主義」から脱却して、気候変動対策などで多国間協調路線に復帰する姿勢を明確にしている。米中対立も、この多国間協調の枠組みの中で緊張緩和が図れないか。アジア、欧州諸国などとも連携しての外交戦略構築を、菅政権に求めたい。

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