被災者支援 避難実態把握 体制強化を

04月16日 09:10

 熊本地震では本震(4月16日)の翌日、県内の指定避難所に計18万3882人が身を寄せた。これが避難者数のピークとされている。しかし事後のアンケートなどから、指定避難所以外にも、その数倍に及ぶ人たちが避難していたと推計されている。実態は今もって明らかになっていない。

 被災者には官民によるさまざまな支援が行われたが、支援の前提となる「把握」から漏れた人たちに、迅速な援助が届いたとは言い難かった。ニーズに応じた支援をしていくためにも、行政は避難者それぞれの被災状況を含め、避難実態を適切に把握できる体制を強化しておくべきだ。

 実態把握が難しかったのは、多くの人たちが車中泊、指定外の公民館、破損した自宅や小屋にとどまる「軒先避難」などの方法で避難していたからだ。熊本地震などを教訓に、災害時には素早く避難者を把握する必要性が指摘されてきたが、昨年7月の熊本豪雨でも課題を残した。大規模災害となると行政がまず避難所運営などに人手を割かれてしまうためだ。

 そうしたマンパワーを補おうと、従来は仮設住宅の入居者見守りなどにあたってきた「地域支え合いセンター」をいち早く立ち上げて、避難実態の把握に努めるなどの方策が考えられている。

 避難所以外に身を寄せた人たちの中には、乳幼児を抱えたり、病気や障害があったりして、やむなく車中泊などを続けたケースもある。支援の必要性が高いにも関わらず、行政の手は届きにくいため、熊本地震では障害者団体などが独自の支援活動を展開した。高齢や認知症などで福祉的サポートの必要な人は避難所の中にもいるが、集団生活のために見逃されやすい。

 それら災害弱者を支えるため「災害ケースマネジメント」という考え方も提唱されている。一人一人の実態に即した支援プランを、オーダーメードで組み立てる方法だ。国や自治体は熊本地震の反省を踏まえて、こうした課題にも早急に取り組んでほしい。

 既に実施されている被災者の公的支援制度にも、盲点があった。家屋の応急修理制度では、半壊以上の建物の修理に最大約60万円が補助されるが、資金不足で修理が完了せず、壊れたままの家で在宅避難を余儀なくされた被災者も目立った。制度上の制約で仮設住宅への入居ができないためだ。生活再建にかかる制度はいずれも複雑で、被災者には分かりにくい。個々の状況に合う支援方法を早期の段階で助言する仕組みも、さらに充実させる必要がある。

 今も仮設暮らしの人たちや、災害公営住宅(復興住宅)に移った高齢者らに、今後も見守りなどの支援が必要なのは言うまでもない。心身の不調や孤立、経済的な苦境など、年月とともに深刻化する悩みも少なくないはずだ。一人一人の復興につながる息の長い支援が求められる。

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