「家族の成長」リレーします 「オガサワラ写真館」後継者なく、4月に閉店 山鹿市の同業者が事業継承

熊本日日新聞 | 2021年04月06日 12:21

アルバムを見ながら思い出を語る小笠原忠春さん=熊本市北区

 子どもの成長の記録を継続して写真に残す会員制サービスを続けてきた創業55年のオガサワラ写真館(熊本市北区)が、4月末に閉店する。全国的にも珍しく、700世帯が登録する好評なサービス。閉店で途絶えかねなかったところを山鹿市の写真館が事業承継し、家族の思い出をリレーすることになった。

 同店は、毎月定額を一定期間積み立てると12ポーズの撮影料計約10万円が、最大で15%ほど安くなるサービス「フォトストーリーアルバム成長物語」を1995年から提供。子どもの誕生から七五三、入学式などの節目を継続的に撮り続け、一つのアルバムにまとめてきた。

 同様のサービスを提供するのは全国で10店ほどといい、店主の小笠原忠春さん(85)は「リストを長期的に管理するのは大変だったが、子どもの成長が一目で分かり、やりがいを感じていた」と話す。

 5年前に長男の浩志さん(享年53)が他界し、後継者がいなくなったことや自身の高齢を理由に閉店を決意。サービスを途中で終わらせるわけにはいかないと、すぐに県内の写真館に引き継いでくれるよう頼み始めたが、難航した。

 そんな折、小笠原さんが撮影技術の高さにほれ込んで声を掛けたのが山鹿市のこうの写真館。「安心して任せられる」と20年8月に交渉を始め、今年2月に事業承継の手続きが完了した。

 こうの写真館の河野健二郎さん(63)は「小笠原さんの気持ちを酌み、サービスを継続していく。家族の楽しい気持ちがよみがえるような写真を撮りたい」と決意を語る。

 12年前から利用している杉村美穂さん(37)=菊陽町=は、「一つのアルバムで、その時々の家族の思い出を振り返ることができ、気に入っていた。遠方になっても引き続き利用したい」と話す。

 県商工会連合会によると、後継者不在のため事業承継を希望する会員は県内で500社に上り、承継先が見つからないケースも多いという。今回、小笠原さんから相談を受けたヘリテージパートナーズ(熊本市)社長の浜田康成さん(57)は「小笠原さんの思いの強さが、事業承継につながった」とその熱意に脱帽する。

 小笠原さんは「写真は時代を超えて残る。たくさんの笑顔を見られて幸せだった」と穏やかな表情を見せた。(岡本遼)

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