「元の場所戻りたい」8割

熊本地震1年 被災者150人聞き取り調査

熊本日日新聞 | 2017年04月16日 00:00

 昨年4月の熊本地震発生から1年となるのを機に、熊本日日新聞社は被災者150人に住居や健康などに関する聞き取り調査を実施し、6割以上が被災前の居住地での生活再建を希望している実態が分かった。その一方で、半数が住まいの再建・確保が見通せないでいた。また、6割近くが現在の生活に不満や不安を抱えており、落ち着いた暮らしが戻っていない様子がうかがえる。

 調査には19~86歳が答えた。「地震前の居住地に戻りたいか」との質問には、63%(94人)が「戻りたい」と回答。「戻りたいけど戻れない」の19%(28人)を合わせると、8割超が転居を望まなかった

 「住まいの再建・確保」では、「見通しが立たない」が50%(75人)を占めた。自宅の復旧や入居先の確保が被災後1年では困難な実態が垣間見える。

 現在の生活への不安や不満などが「ある」「どちらかといえばある」と答えたのは57%の85人。その理由として48人が、やはり「住まい」を挙げた。

 健康面では、35%の53人が「この1年間で体調不良があった」と回答。3人に1人以上が今も不調を訴える状況は、地震の影響の深刻さを物語る。特に24人が不眠や強いストレス、いらいらなど精神面の問題を訴え、10人が病気の発症・悪化を挙げた。また、回答者の家族の19%(29人)が体調不良があったとした。

 就労に関しては「変化なし」が60%(90人)に上った。残る60人のうち農業や自営の計22人が「再開できない」「廃業した」などと答え、厳しい現状にあった。

 自由筆記で問う「行政への希望」では、復旧や家賃への補助関連が17人、原則2年とされる仮設住宅の入居期間の延長を望む人が13人もいた。

 「将来への希望や不安」については、金銭面から住宅再建へ不安を感じる人が31%(47人)と目立ち、「地域が再生するのか心配」とする声が21人を数えた。

 調査は住まいや健康、就労など5項目をテーマに、被災者に面談や電話で聞き取った。(熊本地震取材班)

生活再建へ進展見えず

募る不安、環境厳しく

 熊本地震発生から1年を機に、被災者150人を対象とした熊日の聞き取り調査の結果は、地震半年後の昨年10月に実施した100人調査の傾向と大差がなかった。今回は昨年対象となった90人が継続して回答。現在の生活に対する不満や不安を募らせる被災者も減少していない。この6カ月間で被災者を取り巻く厳しい環境に大きな変化はなく、復興に長い時間が必要な現実がうかがえる。

 両調査で数値化できる項目を比較すると、「地震前の居住地に戻りたい」とした人は今回が63%の90人、昨年は100人中64人と、回答者に占める割合は1ポイントしか差がない。
 住まいの再建・確保に関しても「見通しが立たない」としたのは今回がちょうど半分の75人、半年前が100人中51人と、ほぼ同じだ。昨年も回答した90人中でも46%(42人)とやや減った程度で、状況が大きく改善したとは言い難い。

 特に長期避難世帯に指定された地域の住民は先が見通せないようだ。その例として「立野地区の自宅に戻れるのか。別の場所に家を再建するなら二重ローンになる」(南阿蘇村、52歳、女性)といった声がある。公費解体が遅れている被災家屋も多く、被災者の願いとは裏腹に、かつての住まいでの生活再建は容易でないようだ。

 「現在の生活への不安や不満、不便」に関する問いには、「ある」「どちらかといえばある」を合計すると57%の85人。これも半年前の100人中58人から変化はない。その理由(複数回答)として今回挙がったのは、「住まい」が48人と突出。ここからも生活基盤が厳しい状況にあることが浮かび上がる。

 不安や不満などに関する理由では、次いで通勤通学関連の「移動」13人、「生活費」12人、「仕事」11人と続き、さまざまな問題が横たわっている。(熊本地震取材班)

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