「阿蘇」を世界文化遺産に 熊本県と阿蘇郡市7市町村、東京でシンポ

熊本日日新聞 2024年11月11日 18:36
世界文化遺産の登録に求められる、阿蘇の「顕著な普遍的価値」などについて意見を交わすパネリストら=11日、東京都文京区
世界文化遺産の登録に求められる、阿蘇の「顕著な普遍的価値」などについて意見を交わすパネリストら=11日、東京都文京区

 阿蘇の世界文化遺産登録を目指す熊本県と阿蘇郡市7市町村が11日、東京都文京区で第4回東京シンポジウムを開いた。約260人が参加し、阿蘇の文化的景観の価値を共有し、遺産登録への道筋を探った。

 講演した姜尚中・県立劇場館長は「阿蘇で草地と森林、居住地が絶妙なバランスが保たれている背景には、人々が続けてきた伝説と神話、祭祀[さいし]がある。エコノミーとエコロジー、ミソロジー(神話学)が混然一体となった所は阿蘇だけだ」と指摘。「自然と共生する阿蘇には人類の営みの始まりと、これから目指すべき未来がある」と述べた。

 世界文化遺産に詳しい筑波大の稲葉信子名誉教授は「遺産登録に重要な『顕著な普遍的価値』を見いだすことが大事だ。阿蘇では世界最大級の火山カルデラを人々が緑の景観に変えてきた。人と自然の関係の多様なあり方が、世界レベルの遺産につながる」と解説した。

 稲葉氏や阿蘇草原再生千年委員会の坂本正委員長、木村敬知事らによるパネル討論もあった。「地元の少子化や人口流出、高齢化は著しく、草原の維持は厳しい。コミュニティーの再生が必要だ」「人類は近代以降、生活のスピードが速くなりすぎた。持続可能な社会に見直していくモデルに阿蘇はなり得る」と意見を交わした。(小多崇)

RECOMMEND

あなたにおすすめ
Recommend by Aritsugi Lab.

KUMANICHI レコメンドについて

「KUMANICHI レコメンド」は、熊本大学大学院の有次正義教授の研究室(以下、熊大有次研)が研究・開発中の記事推薦システムです。単語の類似性だけでなく、文脈の言葉の使われ方などから、より人間の思考に近いメカニズムのシステムを目指しています。

熊本日日新聞社はシステムの検証の場として熊日電子版を提供しています。本システムは研究中のため、関係のない記事が掲出されこともあります。あらかじめご了承ください。リンク先はすべて熊日電子版内のコンテンツです。

本システムは「匿名加工情報」を活用して開発されており、あなたの興味・関心を推測してコンテンツを提示しています。匿名加工情報は、氏名や住所などを削除し、ご本人が特定されないよう法令で定める基準に従い加工した情報です。詳しくは 「匿名加工情報の公表について」のページ をご覧ください。

閉じる
注目コンテンツ
熊本の文化・芸能