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出荷組織「八代トマト流通センター」設立20年 生産者の顔見えるトマトを

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八代トマト流通センターの選果場。年間出荷量3千トンを人の手で選別する。一つずつはかりに乗せて、数個を組み合わせてパッケージする=八代市
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包装に「妻せつ子」と書かれたトマトを手にする八代トマト流通センターの中村嵩会長=八代市
 国内最大のトマト産地・八代で、大手卸業者から「取り組み、アイデアともに異色」と評価されているトマトの出荷組織がある。生産者が運営し、設立から20年になる株式会社「八代トマト流通センター」(八代市)。「生産側の顔が見えるトマト」を掲げ、年間3千トンを手作業で選別する。自社ブランドのトマトは「妻せつ子」というユニークなネーミングも受けて好調だ。(上田良志)
 
 同センターは1993年、現在の中村嵩[たかし]会長(74)を中心に八代市の農家3戸で設立。中村会長は「JAに不満があったからではなく、各農家ごとにしていた出荷作業を集約し、手取りを増やす狙いだった」と振り返る。

■「安全・安心」

 まず重視したのが農薬・化学肥料に極力頼らない栽培。農薬は慣行栽培の3~4割以下に減らすなど「安全・安心」で環境への負荷も抑えることを各農家と申し合わせた。

 10年ほど前は人吉・球磨の農家も加わり、契約農家が約100戸、年間出荷量5千トン以上の規模にまでなったが、ここ数年は八代に限定。現在は同市郡築、昭和、鏡地区などのトマト農家19戸、ミニトマト農家7戸の計3千トンを扱う。取引先はイオンや生協、青果卸の東京青果など大手がほとんどで、取扱高は年間十数億円に上る。

■人の目で

 最大の特徴が機械に頼らない選別。トマトを一個ずつはかりに乗せ、大きさの違うトマトを組み合わせて包装する。選別中に衝撃を受けないよう注意し、傷などがないか「人の目」で厳しくチェックする。最盛期でパート200人近くが必要で雇用に貢献している。

 「農家の手取りを増やすため、億単位の高価な機械を買うわけにはいかなかっただけ」と中村会長は笑うが、青果卸・東京千住青果(東京)の担当者は「この規模を手作業でこなすのは全国でも異例。商品をいかに大切に扱っているかが伝わり、信頼度が増す」と評価する。

■インパクト

 従業員が包装するビニール袋に大きく書かれているのが「妻せつ子」のブランド名。設立後まもなく、中村会長が自分の妻の名前からネーミングした。「品質に自信のある自社のトマトにインパクトのある名前をつけたかった。愛妻と同じくらい大切に扱っていると意味をこめた」

 「『何でこの名前?』と消費者の目に留まり、理由を聞いて食べたくなる。しかもうまい。競争力の高いトマトだ」と東京青果の担当者は称賛する。

 同センターのモットーは「消費者の喜びこそ生産者の財産」。天気予報や気温の推移に十分注意し、「暖かい日が続くならば、輸送で熟度が進む分を計算して早めに収穫。気温が低ければ完熟でいい」と、消費者の目線で生産者に収穫のタイミングを伝える。

 卸業者には取引する条件として生産現場の視察を求める。「消費者に安全・安心な食べ物を届けるには、生産から消費までの各段階で連携する必要がある。しっかり見て理解してもらうことが大切」と中村会長。

 種子開発を手掛ける松井農園(奈良県)の松井明彦社長は「思い切ったことを信念を持って取り組むのが、“チーム中村”の強さだ」と言う。

 ここ数年のトマトブームもあって、同センターは品不足が続く。「ただ極端な生産拡大は考えていない。質の高いトマトの安定出荷に力を注ぎ、永続的に雇用を守ることで地域に貢献したい」。中村会長は将来像をこう描く。



熊本日日新聞 2013年11月25日

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