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射程

AIと人手不足 2017年10月12日

 人工知能(AI)の発達で、人間の仕事が奪われないか-。厚生労働省が9月に発表した2017年版の労働経済白書に、興味深い考察が載っている。結論から紹介すると、当面は心配ないらしい。

 白書によると、13年後の30年に国内で働く人の数は、現在より161万人減ると予測されている。AIの導入などで仕事の手間が省かれ、雇用が減るためだ。

 ところが、働き手の数を示す労働力人口は、それ以上に減少が進む。30年には今より225万人少なくなり、64万人の労働力が不足すると推計している。失業者が増えるどころか、人口減少で人手不足がさらに深刻化するのだ。

 ただ、業種や職種によって事情は異なる。働く人の減り方は、製造業が160万人、非製造業が1万人と隔たりが大きい。職種別では、介護職員や技術者が増える一方、工場労働者や事務職は減るという。

 働く側にとっては、世知辛い未来図だ。企業が求める職種や人材と求職者の希望や能力が合わないミスマッチが、ますます問題となる恐れがある。今の職業を続けたいと思っている人も、AIに負けないよう仕事の質を高めなければ、従来と同じ待遇は望めないかもしれない。

 厚労省は、AIによる「第4次産業革命」に対応した労働力の確保のため、「理系的な能力」「コミュニケーション能力」「AIを使いこなす能力」に重点を置いた人材育成の重要性を指摘している。

 30年ごろには万能のAIが開発され、その後は急速に雇用が失われるとみる専門家もいるが、少なくとも向こう十数年はまだまだ人間の能力が欠かせないようだ。

 人手不足を解消するためには、AIの活用と同時に、時代に応じた人材育成に力を入れる必要がありそうだ。企業だけでなく、社会全体の課題だろう。(小林義人)


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